オペラを見てきたよ。 「アラベッラ」R.Strauss 0998/09/23 東京・新国立歌劇場 R.シュトラウスの音には麻薬効果があると思う。 「アラベッラ」見てきました。日本初演だそうで、筋も音楽も全く知らずに見に行ったのですが、これが逸品でした。ただただうっとりと、夢見る気分で舞台に見とれていた。久しぶりに生オペラを見たので、オペラの雰囲気そのものにも酔いしれたのかな。 難しい役所を毅然とした声で歌い上げていた大倉由紀枝さん、リリカルで澄んだ声の澤畑恵美さん、コロラトゥーラの魅力たっぷりの番場ちひろさん、出演者も皆様素敵でした。ちと全体的に声のヴォリュームが小さかったかなと思うのは、席を取るのが遅れたためあまり良い場所で見れなかったせいか。しかし、とても幸福な気分で全幕見ることが出来たので、細かい所に文句付ける気になれない今日なのです。オケもとても良かった。東京都交響楽団。ここはピット物には定評がある楽団らしいですね。 それにしてもR.シュトラウスの音。なんであんなにツボにはまるかなあ。ワーグナーが大きな波ならリヒャルトは小さな波。小さな波が寄せて寄せて重なって、ふいに大きな波になったと思ったら瞬間に再び静かな海原。さざなみが残ってそれがまた繰り返し膨らんで、読めそうで読めない音の行く先。いつまでも聴いていたくなる。まさに麻薬。 ストーリーを全く知らなかったため今日は特に字幕を丁寧に追っていたのですが、これもまたびっくりした本の素晴らしさ。アラベッラ、妹のズデンコ(この名前はどーも笑ってしまうのだが・・)、各々のキャラクターの性格や行動が実に細かに繊細に書き分けられているのね。 「お姉さんの事はあまり良く分からないし お姉さんのやることが正しいとも思えないけど でもお姉さんが好きなの」 なんてセリフでは、うーん姉妹ってこんなものよね、と頷いてしまいましたわ。エンディングに至る静かなロマンティシズムも見事なものでした。オペラの台本に感心させられる事は正直少ない物ですから、新鮮な驚き。 後で調べましたら、R.シュトラウスと共に多くの名歌劇を生み出した脚本家ホフマンスタール、詩人でもある彼は随分と著名な人だそうで、名前さえ知らずにいた自分の勉強不足を恥じる次第であります。次にR.シュトラウスの歌劇に接する際には、脚本にも多いに注目して楽しもうと思います。 ホフマンスタールは、アラベッラの舞台を見ることはなかったそうです。長男のフランツがピストル自殺をしてしまったショックからか、息子の葬儀の朝発作に襲われ、初日を待たずに亡くなってしまったのだとか。生のドラマ。詩人の死。 それにしても、「オペラ劇場」で見るオペラはまた格別です。 文化会館やNHKホール、音の良いホールは色々あるけれど、新国立大劇場は本当にオペラハウス全な作りで、落ち着いた木の内装、適度な狭さ、明るいガラス張りのロビー、なかなかに居心地の良い劇場です。雰囲気そのものも醍醐味の一つであるオペラは、やはり「ホール」よりも「オペラ劇場」で楽しみたいもの。遂に日本にもこういった場所が出来たのは、あらためて非常に喜ばしい事ですね。チケットの値段も、S席がほぼ1万8千円前後。外国物オペラのS席5〜6万は正直二の足を踏む所でありますが、この場所で、この内容でこの値段なら足繁く(とまでは行けないと思うが・・・)通いたくなりますね。 母と妹、三人で見に行ったのですが、家に帰ってから妹とアラベッラごっこ(単に喋る言葉を全部リヒャルト風味で歌うのさ。「おねえさま〜♪、お茶の支度が出来まして〜よ〜♪」「あら、ありがと〜う、バナナケーキでも頂きましょうか〜ぁ〜♪」)をやっていたら、ウルサイと母上に怒られてしまいましたの。結構リヒャルト風味を上手く出していると、妹と二人、悦に入っていたのに。ぐすん。これも麻薬効果だろうか・・・。 1998/09/23 Y.K. |