overture...or plerude

 オペラの序曲は楽しい。

 劇場の中に入り、劇場内部やお客さんの装いの品定めなどをするうち、オケが音あわせを始めて明りが落ちて、この辺りが既に序曲のそのまたイントロという感じでしょうか。

 静まり返ったホールの内部。薄闇の世界。あの闇のそこここには、何か「魔」と呼べるようなモノが本当に潜んでいるように思える。闇の訪れで、ふいに劇場は定められた空間からはみ出して、どこか別の世界にまで広がるかのよう。

 ロマンチックだなーと笑われるかもしれないけど。でもそんな別世界を楽しむのも、劇場の楽しみの一つ。「オペラ座の怪人」を書いた人も、そんな「魔」に魅せられた人なんだろうなあ。

 そしてついに・・・・期待と不安の入り混じる静けさの中、これから何時間かの豪華なエンターテインメントを約束するはじめの音がジャーンと来る、あの瞬間が堪えられません。

 序曲は言ってみれば前夜祭、本編がはじまる前のアペリティフ。構成的には、オペラの中に出てくる様々なテーマを盛り込んだ予告編的な作りが多い。映画の予告編と同じですね。内容を知らない作品だと、こんな音楽なんだなあと予測してドキドキする。知っているオペラだと、そうそう、これもあれも聴けるんだと思ってワクワクする。

 オペラの「おいしい所」を盛り込んであるわけですので、これがツマラナイはずもない。逆にちょっと退屈な序曲だったりすると、オペラが始まる前に既に興ざめしてしまうことにもなりかねない。自然作る方も力の入った名曲が多いわけですよね。

 私が個人的に好きな序曲ベスト3は、

 1. フィガロの結婚序曲/モーツァルト
 2. ローエングリン三幕への前奏曲/ワーグナー
  (序曲じゃありませんが....)
 3. トリスタンとイゾルデ前奏曲/ワーグナー


 と言った所でしょうか。何れも独立した管弦楽曲としてもよく演奏される、非常に著名な序曲(あるいは前奏曲)ですね。
 
 ちなみにオペラには序曲と前奏曲とがありますが、序曲というのは一般的にそれ一曲で完成した形、終わってパチパチパチ、と拍手を受けてさて一幕、と入ることが多いですが、前奏曲は比較的短め、曲として終わらずにそのまま舞台へ突入することが多いようです。ま、長めのイントロと言った所でしょうか。しかし一概に前奏曲が短いとは言えないですね。トリスタンとイゾルデなんて10分もあるもんなー。


1998/04/18 Y.K.