RIGOLETTO
リゴレット

 Verdi作品に好きな物は多々あれど、何が一番好きかと問われれば私は迷わずこの作品。ふんだんに散りばめられた美しいアリア、重唱の数々。せむしの道化師に美しい娘、道楽者の公爵といかにもイタリアオペラ的なお膳立てもばっちり。三幕通して飽きるという事を知らない傑作オペラ。
 
 全くの余談ですが、私の持っている邦版のリゴレットCD、ジルダが父親に助けを求めるシーンの対訳が「お助け!」になっていて爆笑。やはりキャラクターに合った訳を考えて欲しいものですよねー。

** story
** music -- 見どころ・聴きどころ


◆◆◆◆◆ Story ◆◆◆◆◆
 

マントーヴァ公爵の城大広間。舞踏会が開かれる中、公爵は日曜に教会で出会う美しい娘の事を歌ったり、側にいたチェプラーノ伯爵夫人を口説いたり、早速色男ぶりを発揮。側に控えるはお気に入りのせむしの道化師、リゴレット。

このリゴレット、公爵がチェプラーノは無粋だと文句を言うと、じゃあ島流しにしてしまえだの首を切っちまえだの、いくら道化師にしても口が悪く、重臣達の恨みを多少なりとも買っているのは仕方ないと思われるような奴である。だが彼は笑いをとるのが仕事、生きるためには仕方ないと言った所なのだろうか。 傍らでは重臣達が、リゴレットが家に女をかこっているらしいとの噂話で持ち切り。侮辱されたばかりのチェプラーノをはじめ、いつも馬鹿にされている重臣達はリゴレットに仕返しだ!と騒ぎ始める。

そこに、娘を公爵に辱められたモンテローネ伯爵が登場。公爵を許さんだのとどなり散らし、逮捕されてしまう。リゴレットは相変わらずの調子で彼をからかうが、親の哀しみをあざ笑うとは!と彼に呪いの言葉を投げられ、密かに恐れる。

リゴレットは家に帰り、愛しの娘ジルダと御対面。娘の身を案じる彼は教会以外外出を許さず、また何と、自分の名前さえ娘に明かさず(当然身分もか)面倒を見ているらしい。名前くらい言ってもいいのにと思うが、やはり道化師の身分を恥じての事なのだろうか。

私は男など近づけてもいません、と父を安心させるジルダ。だが、実は教会で良く会う男が気になっている。一人になった彼女の前に、ご当人、マントーヴァ公爵が窓の下に現れる。そして自分は貧しい学生で名前はグァルティエ・マルデだと偽り、ジルダに愛を語る。(しかしなんちゅー偽名じゃ。私ならこの名前だけで御免だが、イタリア的には美しい名前なのかしら。)彼が去った後ジルダはうっとりと彼への愛のアリアを歌う。

そこへマントーヴァの家臣達が現れ、ジルダがリゴレットの女だと誤解したまま誘拐計画を練る。そして通りかかったリゴレットを、向いの家のチェプラーノ伯爵夫人を誘拐するのだとだまし、目隠しして手伝わせ、ジルダをかっさらってしまう。ジルダの悲鳴でやっと事に気づいたリゴレット、だが時既に遅し。奴の呪いだ!と言って気を失う。(失うな!助けに行けよ!)

翌朝。誘拐の顛末を知らないマントーヴァ公爵は、あの娘はどこへ?と屋敷で嘆いている。そこへ家臣達が現れ、リゴレットの女をさらって来たと打ち明ける。話を聞く内にそれがジルダの事と分かり、彼女のもとへ飛んで行く公爵。

そこへリゴレットが明るさを装って入ってくる。誘拐は家臣達の仕業と信じつつも確信が持てず様子をうかがう内、やはりジルダはここにいると気づき、娘を返せと重臣達に迫る。娘だったとは!と重臣達は驚くが、公爵の元へ行こうとするリゴレットの邪魔をする。

そこへ奥の部屋からジルダの登場。重臣たちが笑いながら去った後、ジルダは公爵に辱めを受けたと父に打ち明ける。折しも牢に連行されるモンテローネが公爵を呪いながら通りかかる。それを見送り、公爵への復讐を誓うリゴレット。(他の女なら良いが自分の娘なら許さん、と親心は身勝手である。)しかしまだ公爵が好きなジルダは父に彼の命乞いをする。

夜、殺し屋スパラフチーレの居酒屋へリゴレットがジルダを連れてやってくる。スパフチーレは美人の妹マッダレーナを使い、既に自分の家へマントーヴァ公爵を誘い込んでいる。居酒屋の中では公爵が「女心の歌」を歌い、またマッダレーナを口説いている。それを見せ、公爵はこんな奴だと諦めさせようとするリゴレット。嘆くジルダ。
リゴレットはジルダに、これで彼の正体が分かっただろう。先にヴェローナへ行っていろと去らせ、中へ入ってスパラフチーレと殺しの相談。前金半分を渡した後、後は真夜中に来て遺体の確認をした後渡すと行って去る。

嵐が近づき、公爵は二階の部屋へ退く。殺しの準備を始めた兄に、マッダレーナは公爵の命乞いを始める。始めは聞かなかった兄も、では約束の真夜中までにだれか別の客が来たら、そいつを身代わりに殺して引き渡そうと約束する。一方立ち去り難くその場に隠れていたジルダは、その話を盗み聞きしている。迷うが、身代わりになるために扉を叩き、中へ招き入れられる。

嵐の吹き荒れる中リゴレットが戻ってくると、殺し屋は彼に袋に包んだ躯を引き渡し、金を受け取る。勝利に酔いながら、死体を川に捨てようと引きずるリゴレットの耳に、宿の二階から公爵の歌う「女心の歌」が聞こえてくる。驚愕するリゴレット。袋を開けると、瀕死のジルダ。
娘は虫の息の下から事情を話し、父に許しを乞い、息耐える。「あの呪いだ!」と叫び、崩れ落ちるリゴレット。

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◆◆◆◆◆ MUSIC ◆◆◆◆◆
見どころ・聴きどころ

 リゴレットの聞きどころ見どころは各幕にちりばめられており、名曲目白押し。アリア、単発の合唱も良いけれど何より素晴らしいのは各場面での歌のからみ。繰り広げられる重唱の嵐でございましょう。

 一番の名場面はと言われればやはり三幕の四重唱。オペラ屈指の名場面だと思います。続く三重唱もまた素晴らしい。

 マントーヴァ公爵やマルロ、テナー陣を含む男声の活躍にまずは期待したい。マントーヴァ公爵が甘いアリアの数々をいかに若々しく美声で歌ってくれるかにこのオペラはかかっているのですわ。タイトルロールのリゴレットは上手くて当然、ジルダも然り、ともなるといかにマントーヴァ様が無責任な「たらし加減」を甘く歌い上げてくれるかがこのオペラを楽しめるか否かの分かれ目。だいたい「たらし」の男性歌メロを書かせてVerdiの右に出る者がいるだろうか? いやいない(反語)。

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■ 一幕 

頭からいかにもverdiらしい、マントーヴァ公爵の短いアリアあれかこれか。若くて魅力的で女好きな彼のアイデンティティーがよ〜く分かります。マルロやチェプラーノ、マントーヴァの延臣達がリゴレットに仕返しだ!と歌い、やがてマントーヴァもリゴレットもからんでくる合唱は序盤の聞きどころ。そこからモンテローネの呪いの不吉な場面へ行く展開もさすがに見事。序盤から盛り上げてくれます。

ジルダ登場のリゴレットとの
二重唱もテンポ良く非常に美しい。”ふぃ〜りあ♪(娘よ!)”、”みおぱ〜どれ♪(お父さま!)”と思わず歌ってしまいます。しかしここで、ジルダが(死んだお母さまのいる)天上では・・天上では・・・lassu in ciel....と何度も歌うのが既に美しくも不吉です。

ジルダの歌う
慕わしい人の名ははいかにも清らかなソプラノアリア。リリカルに、ピュアに歌い上げて欲しい一品です。

■ 二幕 

二幕冒頭の公爵の嘆きは、たらしの心髄(?)について考えさせられます。つまり気は多くすぐに対象は変わるがその都度本気であるというのがホンモノの「たらし」たる条件なのでしょうか。

リゴレットが、何気なさを装おうと、でも哀しい旋律で
ララ、ララ・・と歌いながら登場。始まる重臣達とのかけあいは次第に盛り上がり、ここで公爵の奥方の(いるのよ奥様も!)お小姓が登場。公爵は城にいるはず、と告げて去るシーンの旋律がとても好きだったりします。こんな短い場面の旋律がふと素晴らしいのが、さすがヴェルディ。

一気にリゴレットの怒り爆発、有名な
悪魔へ鬼めのアリアへ。リゴレットの見せ場ですね。最後にはプライドも捨て去って蹄ずかんばかりに娘を返してくれと頼むリゴレットが哀れです。

そして再び
ジルダとリゴレットの二重唱、スリリングなテンポで始まり、次第にしっとり聞かせてくれます。そしてモンテローネの登場と供に復讐を誓う歌へ。短い幕ですが見どころはたっぷり

■ 三幕

冒頭すぐに歌われる有名な女心の歌は、私は別になんとも・・・。マントーヴァは他に素敵なソロを沢山持っていると思うのですが、なぜこればかりこんなに有名に?覚えやすさと使い方のウマさでしょうか。

三幕の聞きどころは何といってもこの直後の
四重唱。いつ聴いても背筋に寒気が走る名場面。マントーヴァの甘いくどきメロにマッダレーナの軽妙なかわし、ジルダの嘆きにリゴレットの決意、オペラの醍醐味ここにありといった場面ですね。マッダレーナは出番こそ少ないもののここはなかなかの見せ場。オイシイ役だと思うだけにしっかり色っぽく歌って欲しいものです。

殺しの相談の場面。嵐の予感を所々に漂わせながら押さえた調子のやりとりが続き、嵐と供に登場人物達の決意も盛り上がる
三重唱。時計が11時半を打ち、雷鳴、ジルダのノック。うーん見事な構成だ。

そして終局の
二重唱リゴレットは決していいヤツではないが、「お前が行ってしまえばわしは一人だ・・・一人だ!」と歌われるとやはり可哀想で泣けてきます。ジルダは天上のお母さまの元へ。lassu in ciel....と繰り返し、一幕の二重唱で予感させた通り、旅立ってしまうのですね。逝ってしまうヤツは気の毒だが仕方ない。哀れなのはいつも残された方である。


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