アイーダ |
スエズ運河の開通を記念して作られたオペラ。(実際の式典には間に合わなかったらしいけど・・・。)壮大な合唱やバレエも散りばめられた、エンターテイメント性たっぷりな一品。スケールの大きさはヴェルディオペラNo.1。かの有名なヴェローナ野外音楽堂で上演される際には、舞台を馬車が駆け回る(こともある)という。 さすが記念式典用の作品と言うべきか、特に1.2幕はこれでもかこれでもかの見せ場の連続。合唱はどれも盛り上がるし、エジプトが舞台なだけにエキゾチックな香りもあり、サービス精神に富んだ楽しめる作り。 *余談ですが、2000年5月、NYでディズニーのミュージカル「アイーダ」見てきました。イイ。あれイイよ!いかにもディズニーな王道の作りではあるけれど、脚本がまず上手い。唸っちゃいました。それから歌、上手いのよ皆様‥‥長くなるのでここでは語りませんが、今年NYへ行かれる予定の方。メトで良いオペラに当たれなかったら、思い切ってミュージカルでも如何ですか? ** story ** music -- 見どころ・聴きどころ |
古代エジプト。メンフィスの王宮広間。高僧ランフィスが、神託により、侵略者エチオピア軍と戦う司令官が決まったと告げる。若き将軍ラダメスは、もし自分が選ばれたら必ず勝利し、愛しいアイーダとの結婚を王に許してもらおうと思っている。 ラダメスと恋仲のアイーダは、先だっての戦で捕らえられ奴隷となったエチオピア娘である。だが実は彼女はエチオピア王アモナロスの娘である事を隠している。 一方エジプト王女アムネリアスもラダメスに思いを寄せているが、アイーダとラダメスを密かに疑っている。 国王がランフィス達一同と登場、ラダメスが指揮官として選ばれたことを告げる。勝利を願う宴が盛り上がる中、一人アイーダは父と恋人が戦う事を悲しむ。一度はラダメスの為に「勝ちて帰れ!」という合唱に加るものの、その後には「父の死を願う言葉を口にするとは!」と恐れおののき、彼女の胸は揺れる。 火の神の神殿では炎の祭壇に巫子が躍り、ランフィスがラダメスに神剣を授ける。 戦いはエジプト軍の勝利に終わる。凱旋祝賀式典の為に着替えていたアムネリスの元へ、祖国の敗戦を哀しみ父を気遣うアイーダがやってくる。アムネリスは偽りの優しさでアイーダを慰め、勝利したもののラダメスは戦死したと嘘をつく。動転したアイーダの様子に、やはり二人は愛し合っていたと悟ったアムネリスは態度を豹変させ、奴隷女のくせにずうずうしい、ラダメスは私のものよ!とアイーダをうちのめす。 やがて勝利の軍勢が帰国し、華やかに式典が繰り広げられる。 連行された捕虜の中に父親の姿を発見し、アイーダは驚いて側に駆け寄る。一兵士に身をやつしたアモナロスは、アイーダに、自分が国王であることは黙っていろと耳打ちし、エチオピア王は戦死した、自分は奴隷女アイーダの父だと名乗り、エジプト王に慈悲を求める。 ラダメスは勝利への褒美として捕虜の釈放を願い、エジプト王はランフィス達の反対を押してその願いを聞き入れる。ただしアイーダの父を人質として残すことを条件に。そして王はラダメスに、自分の娘と結婚して国を治めよと命じる。喜ぶアムネリス、歓喜の大合唱。 婚礼前夜、アムネリスはランフィスと供に神殿へ祈りに入る。そこへアイーダが現れ、ラダメスを待つ。その場にアモナロスが忍んで来る。彼はアイーダに故郷の悲惨な状況を聞かせ、エジプト軍の進路をラダメスから聞き出せと迫る。アイーダが断ると、もう娘ではないと突き放され、アイーダは遂に父に屈伏する。 やがて現れたラダメスは、再び闘いになり司令官に任命された、今度こそ王から結婚の許しを貰う(明日アムネリスと結婚するのに?)と言うが、一緒に逃げようと誘うアイーダの願いを断りきれず駆け落ちを決心し、つい軍隊の通る道を口にする。 するとアモナロスが喜び勇んで現れ、三人で逃げようと誘う。自分がはからずも祖国を裏切ってしまった事を知り絶望するラダメス。そこへアムネリスが神殿から出てくる。 王女に切りかかろうとするアモナロスを止め、ラダメスはアイーダ父娘を逃がし、自分は裏切りを認めその場に残る。 アムネリスは自分と結婚するなら命を助けようと、ラダメスを説得しようとするが彼は拒み続ける。そしてアイーダが逃げのびた事を聞かされ喜び、自分は恥辱にまみれて生きるより死を願うと言う。やがてラダメスは裁きのために連れ去られ、アムネリスは一人残される。 ラダメスを尋問し、有罪、死を告げる神官たちの声が地下から繰り返し聞こえ、弁明もしようとしないラダメスにアムネリスは苦悶する。やがてラダメスは、生きながら地下の墓所に閉じ込められる刑を宣告される。 墓所に閉じ込められ、既に重い岩で入り口も閉ざされ、死を覚悟したラダメスの前にアイーダが現れる。彼の刑を知った彼女は、先回りして墓に忍び込んでいたのだ。驚いたラダメスは、何とか彼女を逃がしたいと入口に取りつくが岩はびくともしない。やがて二人は抱き合い、天での幸福を願い息耐える。墓の外ではアムネリスが喪服に身を包み、ひたすらにラダメスの平安を祈っている。 ** page-top |
やはりアイーダは合唱でしょう。一幕の勝ちて帰れの合唱、フターに祈る合唱、二幕の有名な凱旋の場、結構出ずっぱりな合唱陣が常にフロントマン達とからんで美味しく盛り上げ続けてくれます。 ただ、アリアがどうもね。一応有名なアリアも何曲かあるんですが、個人的には今一つ好きな「歌」がない。独立したアリアより、合唱に先立って歌われるソロ部や、巫女やアムネリスがふと歌う短い旋律の方が心に残る。 何より主役のはずのアイーダ、割と影が薄い。アリアも重唱部も、彼女の旋律にあまり魅力が感じられないのね。歌的にも、キャラクター的にもこのオペラはアムネリスの方が立っている。 かろうじて三幕はアイーダの幕となっているけれど、四幕に至っては主役はほぼアムネリス。この四幕がまた静かな中にも盛り上げてくれる。 オペラ全体のテンションからすると意外なほど穏やかに終わるラストシーン、アムネリスが「平安に・・・」と歌う締めがとても魅力的。彼女はアイーダが墓の中にいることを知っていたのか?知らなかったとは思うけれど・・・でも、もしかしたら?・・・それ故の、この祈りなのだろうか? そんな想像を掻き立てられる、見事な終曲。 ** page-top |
■ 一幕 始まってすぐにラダメスが歌う清きアイーダは非常に有名なテナーのアリア。そこへアムネリス登場。アイーダも絡めた三重唱へ。 しかし何と言っても一幕最大の見せ場は、「勝ちて帰れ」の合唱。「立て、ナイルの聖なる岸辺に」と国王が歌い始め、アムネリスやアイーダがからみ、合唱となって終わる。最後の、勝ちて帰れ!" Ritorna vincitor!" で終わる部分は背筋に寒気無しには聴けません。一般的に「勝ちて帰れ」というと、このあとのアイーダのアリアを指すようですが、はっきり言ってこっちはどうでもいいです。 第二場、火の神の神殿の巫女が歌う旋律は非常に東洋的で美しい。バレエも入るこの場は、直接筋とは関係ない、観客へのサーヴィスシーンですね。ランフィスのソロから始まりラダメス、合唱に引き継がれる神の守りをこう歌も、美しい旋律。ここに巫女のメロディーが再び絡み、フター神を賛えて終わる幕終わりの静かな盛り上がりは見事。 ■ 二幕 頭の女奴隷の合唱はなかなか綺麗。それを受けるアムネリスの旋律の美しいこと。 ここでも再びバレエが入る。アイーダとアムネリスのからみは旋律的にどうもぱっとしない。 二幕の見せ場はやはり凱旋の場ですね。これだけ盛り上げれば文句のつけようがないだろうという感じ。合唱、バレエ、充分堪能しましょう。間に挟まれた、慈悲を願う捕虜メロは綺麗だし、アモナロス、アイーダetc.入り乱れての旋律のからみもなかなか。二幕後半はひたすら見せ場の連続。再び凱旋の合唱へと戻る幕終わりまで目が離せません(耳も)。 ■ 三幕 頭近く、アイーダのアリアおお、我が故郷はなかなか綺麗。この後ろでさりげなく流れる木管のメロディーが非常〜〜に美しいのです。 父娘の重唱部、パンチはあるが若干飽きる。 ラダメスが現れ、アイーダが彼を逃げようと誘う旋律はなかなか魅力的だ。やはり誘う女は美しい。ここの二人のからみはなかなか聞かせてくれる。やはり主役だったのね君達。 ■ 四幕 アムネリアスとラダメスの二重唱はスリリングに盛り上がる。その後も、四幕はアムネリスの独壇場だ。 一幕で、ラダメスに最高指揮官の栄誉を告げた声が今度は裁く為に彼の名を呼ぶ。「ラダメ〜ス!」。裁きのラッパが響く中、嘆き悲しむアムネリスに魅せられる。 そしてラストシーン。墓所の中、この世に別れを告げるアイーダとラダメスの二重唱はさすがになかなか美しい。 だが!!再び登場したアムネリスが墓の外で「平安に・・・・」と静かに繰り返すオーラスの素晴らしさ。お蔭で主役の筈の二人の印象がまた薄く(笑)。アムネリス、おいしすぎるぞ。どうしてもアイーダよりアムネリスに思い入れしてしまうように出来ているんですねー。 願わくばここのアムネリス、墓の上に身を投げたりせずに決然と顔を上げて、厳かに演って欲しい。 | page-top | OPERA-TOP | |