La Nozze di Figaro
フィガロの結婚

 明るく楽しく華やかなモーツァルトオペラの華と言った所でしょうか。序曲冒頭から彼の世界へさらわれ、コミカルに描かれた貴族社会の雰囲気を楽しめるでしょう。ストーリーは相変わらずいい加減だが・・・。登場人物が多く、どの幕も人が入り乱れてドタバタするので、誰と誰がどういう関係だか飲み込んでいないとすぐゴチャゴチャになってしまいます。といっても、音楽だけでも充分楽しめるオペラだとは思いますが。

 人の出入りが激しいのは、一つにはこの脚本が、ロッシーニのオペラ「セヴィリアの理髪師」の続編だと言うこともあります。セヴィリア・・は伯爵が、現伯爵夫人のロジーナと、町の何でも屋理髪師、フィガロの助けを借りて結婚にこぎ着けるまでの話です。その後フィガロは伯爵の従者となっていたんですね。医師バルトロもこのセヴィリアの登場人物でした。彼はロジーナの後見人で彼女と結婚しようとしていたずーずーしいオジサマでした。

** story
** music -- 見どころ・聴きどころ


◆◆◆◆◆ STORY ◆◆◆◆◆

結婚が決まり、新婚の部屋を楽しそうに支度するフィガロとスザンナ。フィガロはアルマヴィーヴァ伯爵の従者、そしてスザンナは伯爵夫人の小間使いである。ところがスザンナがフィガロに、伯爵は一度廃止した初夜権(召使いが結婚する場合、およめさんの初夜の権利は雇い主にあるというとんでもなく便利な権利)の復活を企てていると聞き、スザンナを伯爵から護る決意を固める。

一方、女中頭のマルチェリーナは結婚をカタにフィガロに金を貸しており、何とかその約束を守らせようと必死。医師バルトロは姪のロジーナ(伯爵夫人)をフィガロの策略で伯爵に奪われており、恨みからマルチェリーナに力を貸すつもりでいる。

スザンナの所に小姓ケルビーノが現れ、庭師の娘バルバリーナとの逢い引きを伯爵に見つかってクビになりそうだ、何とか奥様にとりなしてくれと頼む。このケルビーノというヤツは、奥様からスザンナまで、女とみると口説きたがる気の多いを通り越して訳の分からない少年である。尤も非常な美少年である、という設定らしいが。そこに伯爵がスザンナを口説きにやってくる。慌ててスザンナはケルビーノを隠すが伯爵に見つかってしまう。

そこに折り良くフィガロがやって来る。彼は村娘達を連れてきて、初夜権を廃止した伯爵の徳を褒めたたえる。困った伯爵は二人の結婚を認めるが、十分に準備をしてやりたいので少し待てと言う。そして皆のとりなしに、ケルビーノを首にすることはやめるが、変わりに軍隊行きを命じる。

伯爵夫人は、夫の愛が冷めている事を嘆いている。そこにスザンナとフィガロが現れ、伯爵に一泡ふかせる相談をする。フィガロが去った後に現れたケルビーノを、二人の女性はとある計略のために楽しそうに女装させている。だがそこに伯爵が現れ、慌てた二人はケルビーノを衣装部屋に隠す。様子が変だと伯爵は疑い、衣装部屋をこじ開けるがケルビーノは窓から飛び降りて逃げたあと。伯爵は反対に、あらぬ疑いをかけたと夫人にやりこめられる。

やることなすことうまく行かない伯爵は不機嫌。一方スザンナと伯爵夫人は、夫人がスザンナの服を着て彼女になりすまし、伯爵と密会し、やりこめてやろうと策を練る。

マルチェリーナは、ついにフィガロをモノにしようと伯爵に訴えて裁判を行う。伯爵は思わずほくそえむが、フィガロは、私は貴族の捨て子であり、両親の承認なしには結婚できないと訴える。(じゃあスザンナはどうなんだと思わずツッコミたくなる場面である)。捨て子だった時の様子を話すと、実はフィガロはマルチェリーナとバルトロの息子、昔盗賊にさらわれた子供であった事が分かる。(この辺りになると既に開いた口が塞がらない状態である。)そこで当然借金は取り消し、いきなりみんな仲よしこよし。ヨリを戻したマルチェリーナとバルトロもついでに一緒に結婚しましょ〜♪となる。

一応これでメデタシなのだが、まだ伯爵をやり込めるお仕事が残っている。スザンナは夫人の元へ行き、伯爵を誘う手紙をしたためる。そこへ村娘達が伯爵夫人に花を捧げにやってくる。その中に、今度はバルバリーナに女装させられたケルビーノが混じっている。(全くコイツは女装ばかりしている。誰の趣味だろうか。)そこへ伯爵が現れ、もう軍隊へ旅立っているはずのケルビーノを発見して怒るが、バルバリーナがいつも伯爵に口説かれている事を盾にとってケルビーノを自分のお婿さんにして欲しいと頼み、伯爵は断りきれない。これでケルビーノも軍隊へ行かずに済み、メデタシメデタシ。しかしこれでこの浮気な少年は本当に落ち着くのだろうかと余計な心配をしてしまう。

そして親子二組の結婚式。その際にスザンナは伯爵に手紙を渡す。手紙に刺されたピンからそれがセザンヌが伯爵に渡したものだと知ったフィガロは二人の計略を知らず、スザンヌが裏切ったと思い怒る。

伯爵が現れ、夫人をスザンナだと思って口説き始める。覗き見していたフィガロは、伯爵夫人(実はスザンナ)を見つけ、話す内にそれがスザンナだと気づき、二人の計略を見抜く。そしてからかい半分に、わざとらしく公爵夫人(スザンナ)を口説き始める。スザンナは怒るが、フィガロはすぐにスザンナと分かっていた事を告げ、仲直りする。

そこへスザンナ(伯爵夫人)とはぐれた伯爵がやってくる。気付いた二人は愛を語る芝居をはじめ、夫人が浮気をしていると思い込んだ伯爵は銃を持ての大騒ぎ。皆が揃い、許しをこう振りをふる二人。伯爵が許そうとせず怒り狂う所に、本物の伯爵夫人が現れ、事情を悟った伯爵は夫人に詫び、物語は大団円のコーラスで幕を閉じる。
・・・のだが、一体どこが大団円なのだか、大いなる謎である。ああしかし疲れた。この物語だけで充分混乱しますね。

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◆◆◆◆◆ MUSIC ◆◆◆◆◆
見どころ・聴きどころ
 冒頭にも書きましたがまず序曲。オペラ序曲の中でも屈指の傑作だと思います。これから始まる楽しい舞台への予兆に満ち溢れた逸品。

 ただ如何せん全体的に"レシュタティーフ"部が多く、特に二幕の前半など間延びするのは否めない。曲がいいな〜と思うのは、セリフが多く曲を待ちこがれる気分が高まるのでますます良く感じるのかも(笑)。
 喜劇的な掛け合いが多いので、言葉の意味が分かっているとレシュタティーフの面白みも増すかもしれない。音楽だけではなく役者のコミカルな演技力も含めて楽しむのはモーツアルト物には必須。

 登場人物が多くストーリーも込み入っており、各人に見せ場を作ろうとするためか後半は無駄な場面も多い気がする。マルチェリーナとバジーリオの説教臭いアリアの存在価値は全くの謎だ。故に四幕に分かれ、長い。

 せっかく「集めれば」良い曲が多いんだもの。一幕はいいとして、二〜四幕を少し整理して全三幕ですっきりまとめた方が良かったんじゃ・・・という気もするが、まあ余計なお世話でしょう。
 案外一番の聞きどころは、序曲から一幕の前半かも。三幕も綺麗な音楽が多いです。四幕の終曲もさすがに楽しめます。

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■ 一幕 

序曲の楽しい雰囲気を引きずったまま、スザンナとフィガロが新婚の部屋を支度する快活にも楽しい二重唱引き続き、もし殿様が、の二重唱。しょっぱなからモーツァルトを満喫できる。

続く、
伯爵様、もし踊りたいのなら、も中々可愛らしいバリトンのアリア。暫く後にあるスザンナとマルチェリーナの女声二重唱も聞きどころ。ケルビーノのアリア、僕は自分が分からない、はリズム感も爽やかな名曲。序曲から一幕前半は実にいいテンポで本当に楽しい。

 後半はちとダレぎみでもありますが、幕の終わりには、バリトンのアリアとしては非常に有名な
もう飛ぶまいぞこの蝶々があります。軍隊に送られるケルビーノをからかってフィガロが歌う楽しいアリア。

■ 二幕 

冒頭で伯爵夫人の歌うアリア、愛の神よ安らぎを、はちと単調だけどメロディーはさすがに美しい。そして二幕には、おそらくケルビーノのアリアとしては一番著名な恋とはどんなものがある。けど私としてはケルビーノは一幕のアリアが一番好き♪。幕終わりの裁判を訴える多重唱もなかなか盛り上がります。

■ 三幕

伯爵とスザンナの庭に来てくれるね・・の二重唱は、スザンナの可愛らしさが出ていてなかなか素敵。伯爵夫人の歌う楽しい思い出はどこへ、はとても美しいリリカルなアリアです。すぐ後に、これも著名かつ綺麗な女声二重唱、手紙の歌。幕終わりの婚礼部分はさすがに華やか。

■ 四幕

序盤のアリアの数々はあまり頂けない。内容的に一応四幕になり、終幕があまり短いのも難なので、時間稼ぎだろうか。ただ冒頭のバルバリーナが
ピンを探す歌はなかなか可愛い。(だがバルバリーナはなかなか可愛らしいな♪と思っているので贔屓かもしれない。)

フィガロが
女共は!と歌うアリアはさすが主役だけあって力が入っているし、スザンナのアリア早くおいで、美しい喜びよもそこそこ綺麗だが、あまり工夫のないアリアの応酬にさすがに飽きてくる。

だがケルビーノの登場から始まる
終曲で、四幕はがぜん生き返る。さすがラスト。さすがモーツァルト。作者お手の物と言った感のある多重唱の応酬で最後まで聞かせてくれる。

スザンナとフィガロ
仲直りのデュエットもとても優しく可愛いし、伯爵様にお詫びする場面もいかにもモーツァルトらしくて楽しい。また伯爵が奥方に詫びるメロディー、続く最後の合唱冒頭も非常に美しい。あまり美しいので実はものすごく崇高な内容のオペラだったのではないかと誤解する程だ(笑)。合唱は華やかに祝の歌になり幕。


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