DIE FLEDERMAUS
こうもり

 序曲から最後までともかく楽しくて楽しくて仕方がない、コミカルなオペレッタ。ワルツ王の心髄ここにあり。

 しかし今ではこんなに人気のある「こうもり」も、実はウィーン初演は失敗に終わったのだそうです。その後ベルリンで大ブレイク、パリでの成功を経由してやっとウィーンでの再演を果たし、今度は連日大入り満員の人気になったとか。

 この世に数あるオペレッタの中でも、今やこの作品は別格扱い。例えばウィーンでは国立歌劇場でオペラ、フォルクスオーパーでオペレッタ、と上演場所がはっきり区別されているらしいですが、この「こうもり」だけは国立歌劇場でも観劇する事が出来る。

 欧州ドイツ語圏の多くの街で年末に、ウィーンでは必ず大晦日に上演される作品でもあります。日本での第九みたいな扱いか。明るくコケティッシュで、パーティーのバカ騒ぎも盛り上がる内容は、なるほど楽しく年を越させてくれるでしょう。

 おきまりのドタバタ、誤解、浮気、華やかな舞踏会、当然バレエのサービスもあり。そして大団円のラスト。これが「ウィーン気質」というものかとひたすらワクワク。私にワルツの楽しさを教えてくれた作品でもあります。このオペレッタを知るまでは、J.シュトラウスなんて眠たいだけだと思ってた。(ごめんなさい・・・。)

** story
** music -- 見どころ・聴きどころ


◆◆◆◆◆ Story ◆◆◆◆◆
 

オーストリアの裕福な銀行家、アイゼンシュタイン邸。窓の外からアルフレードの歌うセレナーデが聞こえる。彼はアイゼンシュタイン夫人、ロザリンデの昔の恋人である。

聞き惚れるロザリンデの元に、女中のアデーレが登場。病気の叔母を見舞うために今日休ませて欲しいと頼むが、断られる。しかしそれは実は口実で、姉のイーダから今夜の舞踏会に誘われていたのだ。

そこへアイゼンシュタインと弁護士のブリントが、言い争いながら入ってくる。彼は酔って役人に暴行を働いたかどで、今夜刑務所に入らねばならないのだ。ドジな弁護士のせいで禁固の期間が3日も伸びてしまったと怒るアイゼンシュタインは、彼をどなりつけて追い出す。

お次にファルケ博士の登場。彼はアイゼンシュタインを、刑務所へ入るのは明日にしよう、今夜オルロフスキー公爵邸での仮装舞踏会に行こうと誘いに来たのだ。(なんておおらかな・・・)話に乗るアイゼンシュタイン。ウキウキする気分を隠しながらロザリンデに別れを告げる。気の変わったロザリンデにヒマを貰えたアデーレもウキウキ。

旦那とアデーレが退場した後一人になったロザリンデのもとへ、アルフレードがやってくる。驚く彼女を甘い歌で口説き、あろうことか旦那のガウンを着込み、楽しく酒を飲むアルフレード。

そこへ刑務所長のフランクがアイゼンシュタインを連行しに登場。ガウンを着込んでくつろぐアルフレードをアイゼンシュタインと勘違いするが、まずい所を見られた二人はそれを否定出来ず、アルフレードはあえてアイゼンシュタインになりすまし、刑務所へ連れて行かれる。

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オルロフスキー邸。パーティーに現れたアデーレに、姉のイーダはびっくり。彼女は妹に招待状を出した覚えなどなかったのだ。傍らでは、主人のオルロフスキーに、ファルケがヒソヒソ話。今日、面白い趣向を用意してある、それは「こうもりの復讐」であるという。

昔、アイゼンシュタインとファルケが仮装パーティーに出かけた時の事、こうもりの仮装をして泥酔したファルケを、アイゼンシュタインは町中に悪戯で置き去りにしてしまった。昼になって目が覚めた彼は、こもうりの仮装のまま町を歩いて帰らねばならず、それ以来「こうもり博士」と呼ばれるようになってしまった。今夜は、そのささやかな復讐の夜なのである。

かくてアデーレは踊り子のオルガ、アイゼンシュタインはド・ルナール公爵になりすまし、舞踏会で鉢合わせ。うちの女中に似ている、と口走るアイゼンシュタインを、口八丁手八丁でごまかすアデーレ。

そこへ今度は、ファルケに招かれた刑務所長フランク、がド・シャグラン公爵になりすまして現れ、互いの事は何も知らぬままアイゼンシュタインに紹介される。続いてロザリンデも登場。彼女はファルケに、アイゼンシュタインが刑務所に行かず舞踏会で遊んでいると告げ口をされ、飛んできたのだ。彼女はハンガリーの某貴婦人として紹介される。

アイゼンシュタインは、彼女が自分の妻とも気付かず(ドミノを着けているからね。)口説き始める。いつも口説きに使う女物の金時計を見せるが、それを浮気の証拠としようと企むロザリンデに上手く取り上げられてしまう。

互いが互いの正体に気づかぬまま、ただ全てを知るファルケとオルロフスキー公爵が面白がるまま、朝の訪れでパーティーは解散。

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監獄の朝。酩酊状態のフランクの帰還。それを追ってイーダとアデーレの登場。フランクは、舞踏会で彼女をパリの舞台に立たせてやると口から出任せを言っていたのだ。それを真に受けたアイーダは、実は自分はアイゼンシュタイン家の女中であることを打ち明け、しかし女優になりたいので力を貸して欲しいと頼む。

そこへアイゼンシュタインが刑務所に入りにやってくる。あわててアデーレを隠したフランクと彼は、驚きながらも本名を明かしあうが、フランクは本気にしない。なぜなら昨夜のうちに、アイゼンシュタイン(実はアルフレード)は刑務所に入っているのだから。

それを聴いてロザリンデの浮気を疑うアイゼンシュタインは、折しも登場したブリントの法衣やカツラを奪って弁護士になりすます。そこへ登場したロザリンデは、彼を夫と気付かず、言いにくそうに訳を話し、アルフレードの釈放を依頼する。

怒り狂ったアイゼンシュタインは弁護士の衣装を脱ぎ捨て、二人を糾弾する。だが、ロザリンデは昨夜夫から取り上げた「浮気の証拠」金時計を胸元から取り出す。

混乱した場に、ファルケとオルロフスキー公爵、そしてパーティーの他の面々(みんなグルだったのね)が登場。全てがファルケの企みであると解った今、アイゼンシュタインは妻に「許してくれ、全てシャンパンが悪いのだ!」と詫び、さ〜杯を挙げよう♪と一同大合唱で大団円。

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・・・しかし、この終わりのセリフ廻しを見ると、ロザリンデとアルフレードは、ちゃっかり「悪戯一味」の仲間だった振りをしてアイゼンシュタインをごまかしまうのね。だから彼等の浮気自体は糾弾されないで終わってしまう・・・うーん。オチャメさんたち。本当に大団円だか何なんだか解らないが、酒のせいだ!で丸く収まるお国柄なのだろうか。=ウィーン気質

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◆◆◆◆◆ MUSIC ◆◆◆◆◆
見どころ・聴きどころ

 ワルツ、ワルツ、ワルツ!であります。ワルツなんてタイクツ、と言いう貴方も、このキッチュで軽やかで心踊るワルツの嵐を体験すれば、ウィーンに生まれてみたかったなーなんて思う筈。

 序曲のイントロ部で、このオペレッタの全てが言い表されているよう。華やかで楽しくてウキウキワクワク。定番の、各テーマが散りばめられた序曲は、本当に楽しい。

 嘆きメロはコミカルな程に悲劇調。ハンガリーの歌もいかにもエキゾチックに、遊び心満載なメロディー群はいかにもオペレッタ。すべての歌にちゃんと「サビ」がありツカミもばっちり。「ざーとら」、あるいは「いかにも」な音楽の楽しさは、きまじめなオペラとは一線をかくす所であります。セリフ部分もユーモアに溢れて楽しい。字幕を追ってしっかり笑おう。そして再びワルツ、ワルツ、ワルツ!。

 酒を賛える合唱をガンガン聴いていると、こちらも楽しく飲みたくなるのでございます。さ、今夜はシャンパンかしらね、やっぱり。

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 一幕 

優男丸だしの、アルフレードの小鳩よ、で幕を開ける一幕。ロザリンデが夫の刑務所入りを悲しみ、アイゼンシュタインも一応悲しむ素振りをするものの、実は舞踏会が楽しみで仕方がない・・・・嘆きメロと心踊るワルツのメロが入れ代わり立ち代わりに現れる、アデーレも加わっての三重唱はユーモアに溢れ、とてもコミカルで楽しい。

飲もうよ恋人よ。アルフレードの口説き歌は軽快で魅力たっぷり。すっかり出来上がったアルフレードに、刑務所長フランクも調子を合わせてこのメロディーを歌い上げる。お役人までこんなウィットの持ち主なのも、ウィーンっ子ならではかしら。

浮気の誤解を張らそうとロザリンデが歌い始める
三重唱。ワルツのテンポで可愛らしい。刑務所はそんなに悪いところじゃないですよ、とフランクが始める三重唱もまた軽やかに楽しい。既にこの一幕だけで、もーホント楽しい。

 二幕 

舞踏会の始まりだ!合唱で華やかに幕を開ける二幕。すぐにホーゼントレーガー、オルロフスキーのアリア十人十色。女中だと言われたアデーレが「こっけいだわ」とかわす歌もなかなか可愛いらしい。

フランス貴族になりすましたフランク、アイゼンシュタインのしどろもどろなフランス語。ここはセリフだけど笑う所(笑)。アイゼンシュタインが妻とも知らずハンガリーの貴婦人を口説く
時計の歌部分もなかなか軽快。ロザリンデのアリアチャルダッシュはエキゾチックに楽しく盛り上がる。演技力の欲しい歌だ。

オルロフスキーが歌い始める
シャンパンを賛える歌。椿姫の「乾杯の歌」と並ぶ、著名な「オペラ舞踏会曲」。オペラフェス等でも良く歌われますね。続く、ファルケが歌い始める「兄弟よ、姉妹よ」の合唱もこれまた有名。これはしっとりと聴かせてくれる、親しみやすい名曲です。この後バレエシーン用のポルカ、「雷鳴と電光」が。

 序曲で聴いたメロディーに乗って、「
乾せよ虹の酒」の合唱。これも有名な曲ですね。時計が六つを打つのをカウントして、舞踏会の終了。

 三幕

冒頭、看守のフロッシュが、監獄で歌っているアルフレードに「ウルサイ、ここはオペラ座じゃないんだぞ!」と叫ぶセリフもお決まりの笑う所(笑)。フロッシュはセリフのみで歌がないので、ちょっと名の通った役者さんがゲストで出演することもある(らしい)。三幕頭は泥酔したフロッシュとフランクの「酔っぱらい演技で笑ってね」部分だ。その後もセリフが長いので、音楽を期待する人はちょっと飽きるかも。

女優になりたい
アデーレのアリア、ちょっと長くてイマイチ。まあここは彼女の見せ所でもあるので、演技力に期待しよう。

三幕、短い幕ではあるが、一、二幕の盛り上がりに比べると、音楽的にはかなり寂しい。終曲のコーラス、おお、
フレーダーマウス!、からはさすがに楽しくなるけど。でも終曲は短い。再びシャンパンを賛える歌で幕。


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